2015年10月27日火曜日

2015年度 救急医学会総会

多田です。

2015年10月21日から23日まで、東京国際フォーラムで「救急医学会総会」が開催され、発表を含め参加してきました。
全国の救急医が集まる学会ですので、「再会したい人」「お話ししたい人」「お知り合いになりたい人」たくさんいらっしゃいます。みなさんと、出会うチャンスですから、発表・参加だけでない、大きな意味が学会にはありますね。

センター長は、2014年8月の広島土砂災害について、患者さんの転帰について発表しました。
(センター長の発表です)

自分は救急医になってから5年間のまとめを報告させていただきました。
(多田の発表です)

小児内科出身の救急医が、救命救急センターに居座ることで、こども達のために「何が」「どの程度」できているのか。数字になることで、少しはみなさんにお伝えすることができたかもしれません。

(多田のスライド抜粋です)

自分は、引き続き「ぶれる」ことなく、「重症なこども達を救命していきたい」と思っております。
良い刺激をいただきましたので、また明日からの診療に活かしていきたいと思います。

2015年10月17日土曜日

アナフィラキシーとは?@つくし幼稚園

多田です。

先日、ある幼稚園の園長先生が、突然、当救命救急センターを訪ねて来られました。
「幼稚園に食物アレルギーを持っている園児がいて、エピペンを持っている。スタッフは、アナフィラキシーも、エピペンも初めてで混乱している。幼稚園スタッフが理解を深められるような勉強会をして欲しい」と。
その幼稚園は、「つくし幼稚園」といい、広島市の隣、廿日市市にある幼稚園でした。

最初は、どうしようかと迷いましたが、
「身に降りかかる困難を、逃げずにみんなで克服しよう」
とする、園長先生のお考えに感銘し、お受けすることにしました。

幼稚園の帰りの送迎が終わったタイミングにお邪魔し、教室をお借りし、約1時間、「アナフィラキシーとは?」と題して、お話と、エピペンのトレーニングをさせていただきました。

園長先生・施設長先生・先生方をはじめ、幼稚園バスの運転手さん達も参加していただき、みなさん熱心に話を聴いていただきました。
(その時の様子をこちらにも載せていただいております。)

勉強会が終わると、自分には似つかわしくない(笑)、お花までいただき恐縮しました。


自分にとっては、最高の「わかりやすかった」という、感想をいただき、お話しさせていただいた人間としては非常に嬉しかったです。
最後には、皆さんと一緒に記念撮影もさせていただき、園長先生には幼稚園の中も見学させていただきました。

校舎から、世界遺産である安芸の宮島の象徴、鳥居が見え、恵まれた教育環境だな−と感じました。
(よーくみると、赤い鳥居が見えます)

また、「幼稚園の出入りには、2重の扉」が設置されており、園児の安全に気を遣っていらっしゃることがよくわかりました。
(たくさんの幼稚園バスがありました)

だからこそ、自分にこの勉強会の依頼が来たんだなと納得しました。

つくし幼稚園のみなさん、お招きいただきありがとうございました。
少しでもみなさんの、アナフィラキシーに対する「混乱」が解消できたとしたら、自分の勉強会は成功です。
「逃げずに向き合って克服する」
園全体の姿勢、我々も見習わないといけません。
ありがとうございました。

2015年10月9日金曜日

昨日(2015/10/08)の広島市での火災への当院での対応について

多田です。

昨日、(2015/10/08)広島市で、複数傷病者のでる火災がありました。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、お怪我をされた方々の一刻も早い回復を願っております。

自分は、たまたま、昨日は救命救急当直でしたので、当院の対応を備忘録として記載しておきます。
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2015/10/08の日勤帯は、骨盤骨折による出血性ショックの患者さんに対して、動脈塞栓術・創外固定術を行ったりと、比較的忙しい時間帯を過ごしました。
当直帯になって、落ち着いた救命救急センターで、研修医の先生・研修中の救急救命士、その卵の学生さんと「わいわい」晩ご飯をたべました。
その後、救命救急の勉強目的に、「コードブルー セカンドシーズン」のDVDを見ていた時、3次救急のホットラインが鳴りました。
通常は、現場の救急隊の方から、重症な状態の患者さんの、収容依頼の電話がかかってくるのですが、昨日は「広島市消防局通信指令室」からでした。

「流川(広島市の繁華街)で、複数傷病者の火災が発生している。受け入れ可能人数の確認をしたい」という電話でした。
救命救急センターは3床以上空きがありましたので、受け入れ可能人数を返答しました。
さらに、現場派遣の必要性を聞き、広島大学病院から医師派遣ができそうであるという情報がありました。

どこかで、出会ったことがあるような、当直中の出来事でした。
(以前の似たような当直中の出来事はこちらです。)

昨年の広島市土砂災害の夜と同様の、なにか胸騒ぎのする情報でした。
昨年の土砂災害前後から、院内のDMAT隊員・救命救急センターのスタッフ・病院職員全体で、局地災害への対応を検討し続けておりました。
「局地災害対応のスイッチは早く押す!!」
ことを目的に、DMAT隊員の連絡用のLINEで、不確実でしたが情報提供行いました。
病院実習に来ていた、広島市消防局の救急救命士さんが、同僚に電話をかけてくれて、普段あまりない数の、消防車・救急車の出動要請がされているという情報がはいりました。
自分は、最初の情報収集の10分後には、DMAT隊員の全員招集を決定し、LINEで送信しました。
直後から、救命救急センターへ参集を始めた、隊員からメッセージが入りはじめ徐々に、人数が増えていきました。

その間、病院では現場の救急隊から熱傷の患者さんの受け入れ要請があり、事案による傷病者の全体像も把握していただきました。
最初の情報では、「黒1、黄2緑1の情報で、そのうち黄の傷病者が1名搬送されることになりました。

一緒に当直していた、島根大学から当院で研修中のU先生に、通常の受け入れの準備をお願い。当院の初期研修医O先生に、当直表を元に、傷病者が増えた場合の、院内の他の当直の先生達の応援を打診してもらいました。

当院へ搬送となった、患者さんが救急外来へ到着するまでに、フライトナースでもあるO川看護師が病院へ到着し、救命救急センターでクロノロを開始してくれました。
途中、センター長へも直接電話連絡し、会合の会場から直接病院へ来ていただくことにしました。
救急外来へ患者さんが到着した時には、すでに、数人のDMAT隊員が参集してくれたため、全体像の把握はセンター長にお願いし、自分は通常の当直業務だけやっておけば良い程度になっておりました。
自分は、遅くまで残って仕事をしてくれていた、救急科後期研修医T先生とともに、重症の熱傷の患者さんの初療を行い、その後救命救急センターへ入院になりました。
その間、ぞくぞくと集まったDMAT隊員が、出動メンバーを選定し、DMATカーで現場に出動して行きました。



また、自宅で非番だったI先生も、LINEのメッセージを見てくれ、自宅から直接現場に駆けつけ、DMAT隊員として活動してくれました。
DMAT隊員が活動中に、センター長からDMAT事務局へ連絡していただき、EMISを警戒モードにしていただきました。
「局地災害では、積極的に情報をはき出す努力が必要である」ことを、実感しておりますので、クロノロを意図的に頻繁に掲示板に上げるように、A業務調整員にお願いしてやっていただきました。
(病院本部です)

現場では、鎮火まで比較的、時間がかかった様で、なかなか現場に近づけず、救助は困難を極めたようです。
(出動隊員からみた現場です)

結局、現場に到着した、当院のDMAT隊員達は患者さんと接触できず、2:17に撤収を決め病院へ帰投しました。

これまでの、DMAT訓練・局地災害対応などにより、非常に素早い局地災害対応ができたと思っております。
毎回、振り返りとその改善を繰り返すことで、より良い災害対応ができることを実感した夜でした。

2015年10月4日日曜日

救急救命士ブラッシュアップコース 2015

多田です。
先日、広島県消防学校において、「2015年度の救急救命士ブラッシュアップコース」が行われました。
(広島県消防学校です)

県内の救急救命士のみなさんを対象に、
「資格を取ってからも、定期的にスキル維持のための勉強をしましょう!」
という趣旨で、毎年開催されております。
指導に当たる救命士さんが、受講生の指導をするスタイルになっています。
自分は、今年で4年目、4回目の参加です。
シミュレーションの教材提供と、総括をさせていただいております。
担当は、毎年「小児救急」のシミュレーションです。

なかなか、症例数の少ない重症小児ですが、病院前でのきちんとした評価をしていただくために、しっかりシミュレーションしていただきました。
自分の考える、小児救急のテーマは「小児は小さな大人である!」です。
(シミュレーションのあとの、フィードバック)

「小さくて」「話ができなくて」「泣いてしまう」こども達ですが、重症であればあるほど、成人と同様な、ABCDE(A:気道、B:呼吸、C:循環、D:神経学的所見、E:体温)の評価が重要になります。
その、成人と同様の評価をするに当たって、月齢・年齢によるバイタルサインの正常値だったり、こども達を取り巻く、周辺の環境だったり、疾患の頻度だったりが成人と異なる部分があり、それを配慮する必要があると考えております。

今回のブラッシュアップコースとは別に、救命士養成所での「小児の外傷」の講義も、昨年度までに4回させていただいております。

今回のコースの受講者の中に、自分の講義を聴いてくれていて、それを参考にシミュレーションで活動してくれた受講生がいました。
(乳児も固定できます)

また、広島圏域MC協議会の勉強会で、「小児の外傷」を取り上げ、その際に、講義させていただいたことがありましたが、今回の指導救命士さんの中に、その時の資料を参考にしてくれていた方がいらっしゃいました。

非常にうれしいことです。
少しずつですが、長年、「無視され続けていた病院前の小児救急」にみなさんの目が向いてきていることが非常にうれしいです。
引き続き、来年度以降も参加させていただきたいと思っております。

参加されたみなさん、お疲れ様でした。
引き続き、地域の小児救急のレベルアップにご協力をよろしくお願いします。