2014年8月23日土曜日

2014.8.20の活動について(DMATの意義)

多田です。

通常、当ブログは1日300ビュー程度がマックスのこぢんまりしたブログですが、前回の「2014.8.20の広島市豪雨災害の当院での対応について(備忘録として)」を投稿してから、急激にページビューが増えて、とうとう1日11000ビューを超えてしまいました。
それだけ、みなさんが今回の災害について、心配していただき、また、DMATの活動についても興味をいただいていることと推測します。

連日、各報道機関が報道しておりますが、現場で医療活動を行ったものとしての今回の災害における、超急性期のDMAT活動について感じたこと、考えたことなどを「生の声」として記したいと思います。

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今回の土砂災害は、発生場所と時間が同時多発的で、現場が混乱したことは間違いありません。また、管轄の消防署も安佐北・安佐南とわかれており、情報の集積も別々になった部分があったようです。発生場所が1カ所であれば、少数の病院前医療チームで対応可能ですが、今回のような発生場所が複数で、距離が離れている災害では、多数の医療チームが必要となります。

我々、県立広島病院のDMAT隊が参集した、安佐北消防署のDMAT活動拠点本部では、安佐南消防署の活動拠点本部とは異なり、比較的、災害現場での医療ニーズがあったと感じております。
安佐北消防署のDMAT活動拠点本部では、6チームのDMAT隊が、活動拠点本部から複数箇所の土砂崩れ現場に赴き、現場の救急隊や救助隊の方々とともに患者さんの診療を行っております。

救出まで長時間、挟まれたり、埋もれていたりした患者さんが数人いらっしゃり、現場で、救急救命士の方や、DMAT隊員により輸液が行われ、「クラッシュ症候群」による、救出直後の心停止を免れ、病院での治療を継続されていらっしゃる方が複数名いらっしゃいます。

災害の被害が比較的少なかった、安佐北の本部では逆に医療ニーズは多かったようです。

現場に、医療チームが赴き、救出前から医療介入し、起こりうる病態に対処することで救命することができた患者さんが確実にいました。
「クラッシュ症候群」に対する、共通理解が医療・消防間にできており、救助完了前に医療チームに連絡があり、万全の体制で救助を完了するということが、現場で自然と行われておりました。これは、阪神淡路大震災以後、大規模災害への対策として日本DMATが設立され、関係機関が日々改善を重ねた結果だと思いました。

新しい薬剤や、治療法が開発された訳ではなく、
「今まである治療法を病院に到着してからでなく、現場で開始する。」ただそれだけです。いわゆる「攻めの救急医療」と同義です。
しかし、そのための準備には多くの時間と労力を必要とします。もしもの時に備えて、普段から準備をしておく大切さも今回実感できました。
また備えていたことを、実践することもできました。

今回の土砂災害に、DMATが出動したからこそ救えた患者さんが数名いらっしゃいます。
「たった」数名なのか、数名「も」なのか・・・
救急医療に携わる者として、数名「も」と思いたいです。

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