2014年5月9日金曜日

ドクターヘリの説明書:シリーズ第1回 基本的な活動

多田です。

広島県ドクターヘリがスタートして1年を過ぎました。
初年度の11ヶ月間で、要請件数は480件、出動した事案は372件でした。そのうち、現場救急262件、転院搬送64件、出動後キャンセル46件でした。

滑り出しとしてはまずまずの件数ではと思っています。ただ、ニーズをきちんと拾い切れていない部分や、診療の内容などまだまだ洗練していかなくてはならないことが山積みです。

症例検討会などで、事後検証したり、それぞれの事案について簡単に消防本部さんとお話したりはありますが、やはり我々フライトスタッフと、要請していただく消防機関の方々の間に、まだドクターヘリに対する考え方、認識の違いがあることを感じております。
その、考え方・認識の違いは経験によりなくなっていくものと考えていますが、なるべく早く解決した方がいいですね。

幸い広島県は、ドクターヘリスタート以前より、消防防災ヘリコプターを使った、ドクターヘリ「的」事業を行っており、ヘリコプター救急に対する理解は得られていると感じています。しかし、専用機と汎用機の違い、ランデブーポイント・臨時離発着場の違い、要請基準の違いなど、専用機となりフットワークが軽くなった分、「的」の運用と変わった部分の考え方・認識の違いが難しいものと考えています。

(広島市消防局の「ひろしま」)

(広島県防災の「メイプル」)

自分はせっかく、広島県ドクターヘリに参加させていただいており、各地の消防の方々に多少は見ていただいているブログをさせてもらっていますので、ドクターヘリにできること」をパターンに分けて紹介させていただき、少しでも活動の支援をいただいている消防の方々に理解を深めていただけるよう、
「ドクターヘリの説明書」と題して、広島県ドクターヘリができることについて、勝手にご紹介させていただこうと思っています。

シリーズ第1回ですので、基本的な活動をご紹介します。

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傷病者が発生し、119番通報されます。

救急車が出動し、患者さんに接触します。

救急隊員の方が、「重症度が高い」または「緊急度が高い」と判断します。

救急隊員の方が、消防本部を通じて「ドクターヘリホットライン」に電話をして、ドクターヘリ要請します。

広島ヘリポートのドクターヘリホットラインが鳴り、CSさんが要請内容を聴取し、フライトスタッフはいち早く離陸の準備をし、準備が整い次第、離陸します。

(今年4月から広島ヘリポートに完成したこちらで活動しています)

要請内容をまとめた情報が、CSさんから無線でヘリに届きます。

設定されたランデブーポイントに近づくと、要請元の消防本部や患者さんを収容している救急隊、ランデブーポイントの警戒をしていただいている支援隊の方々と無線で交信ができるようになります。

本部とは支援隊・救急隊の動きの確認などを、支援隊の方々とは、離着陸に関する情報を、救急隊の方々とは、患者さんの状態に関する情報をそれぞれやりとりします。

ランデブーポイント到着までの機内では、考えられる患者さんの情報から、必要な道具・薬などの準備をします。

ランデブーポイント上空に到着後、支援隊の方々からの情報を元に着陸します。

着陸後、医療スタッフは降機し、到着している救急車内に移動し、患者さんの診察をします。

救急車内を、簡易の救急外来として使用させていただき、観察・検査・処置や治療を行い、患者さんの病態を安定化させます。そのため、モニターや酸素投与の継続は必須です。
(ランデブーポイントで並ぶ、救急車とドクターヘリと支援車)

診察の結果、患者さんの病態に合わせた搬送先病院を、選定し電話連絡します。

病状を電話でおはなしし、搬送が決定すればドクターヘリで搬送します。

患者さんを救急車のストレッチャーのまま、車外に降りてもらい、ヘリのストレッチャーに乗り換えます。

機内に搬入し、機内のモニターを装着し、酸素も機内の酸素に付け替えます。

準備ができたら離陸します。

搬送先病院のヘリポートに着陸し、エンジンを止めてから患者さんのストレッチャーを搬出します。

ヘリポートで患者さんを、病院のストレッチャーに移動し、申し送りを行い搬送先病院のスタッフにお願いし、ヘリコプターで広島ヘリポートへ帰投します。
(搬送後、帰投の様子です)

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以上が、広島県ドクターヘリの基本的な活動です。
多少はイメージがわきましたでしょうか?
それぞれの部分に、バリエーションがあり、その都度、もっとも適切と思われる活動をしていますので、今後はそのバリエーションについてご紹介させていただこうと思っていますので、こうご期待!!

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